ほわいとあっぷる 【SS】大氷精 忍者ブログ

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【SS】大氷精

「なんなのあんた。あたいに何か用……?」

私と氷の妖精さんとの出会いは思えば、彼女の氷のように冷たい発言からでした。



ここは光彩な青空を反映させる広き湖。
異物は一切浮遊しても沈没してもおらず、川底まで見渡せるほど澄んだ水。
日があるうちは太陽が、日が沈むと月が壮大な美しさを湖に照らし出してくれるのでした。

この湖は、数多の妖精が占領しています。
人間に汚されぬよう、妖精達は湖から遠ざけるように威嚇していました。

その多数の妖精の長を務めるのが、私の役目。
私は他の妖精の仲間よりも、遥かに力を凌駕しているのでした。
どの妖精よりも博識で、悪戯も上手にこなし、弾幕ごっこも精妙な技術を持っています。――とは言ったものの、実際は少しドジをしてしまう事もあるのだけれどもね。

そんな私には、名がありません。
それもそうです。妖精は自然に生まれて、自然に消える掴み所の無い者なのですから。
他の妖精は「リーダー」と口を揃えて、私の事を呼びます。

大層な名称ですが、所詮は妖精。
力を有する人間や妖怪には、到底敵いません。
ただ、生まれてからこの方ずっと、この美しき湖を守り続けてきたからこそ、友達である妖精達に認められ、尊敬されたのでしょう。

だけど私は、別にこの湖を守りたくて守ってきたわけじゃありません。
もちろん、荒んだ心を浄化してしまいそうな美景なる湖は、私にとっては安らぎの存在としてあったのだけれども。それだけが理由で、わざわざ友達を従えてきた訳では無かったのです。

私は――自分という存在、居場所をずっと保護し続けかっただけ。
個人的なちっぽけな思考で、私は長を務めてきたのです。

でも……それだけで良かった。
妖精は、何の為にいるのか。
徒死する事も出来ず、私達は生まれてきたのか。
その答えは闇に飲まれたまま、私達が知るよしもなかったのです。



そんなある日。
妖精の友達数名が私にある1つの噂を運んで来ました。

「凶悪な力を宿している氷の妖精が、湖のすぐ傍まで……」「寧ろ妖精と言えない様な力を持っていて……」「私達の軟弱な妖精ではどうする事も……」「近寄るだけで、氷結されてしまった仲間が……」「このままでは自然が壊され、私達の命が……」

次々と報告する友達は、私を頼ってくれているのだと気付きました。
たったそれだけの事だけど、私の心が躍動し、すぐさま友達の脅威となるものを追っ払いに空を駆けます。
嬉しかったのでしょう。誰かに頼られる事が、誰かの役に立てる事が。



ですが私は、自分の住処から飛び出た瞬間、変わり果てたいつもの湖を見て、絶句しました。
何故なら植物も、湖も、空も全て、深く視界を遮る霧が立ち込めていたからです。

只事ではない事件だという事を実感し、息を飲み込み、私は霧の濃い方に風を身体に纏い進入。
視界が霧で見にくく、靄がかかった様な風景が暫く続きます。
段々霧が籠もって行く程、肌に刺さるような寒冷な空気が私の体力を吸い取るようでした。

私は凍結させられぬよう風を装い、懸命に前に進みます。
やがて湖に結氷がじわじわと侵食していた先。
凶悪と称された氷の妖精が、結氷した湖の上に寝転がって休息を取っていました。

だけど私はそこで畏怖する事は無く、呆気に取られてしまいます。
あまりにも凶悪とはかけ離れたような、可愛らしい容姿。
6つの氷の羽と、大きな青リボンが魅力的な、青くまさに氷のような妖精さんでした。

「なんなのあんた。あたいに何か用……?」

眼光人を射る――もとい、妖精を射るような目つきで睨んでくる氷の妖精さん。
どこか哀しげな彼女に対し、私の心が揺らぎます。
力の無き青い瞳に私を写し、景色を一見するような感覚。
彼女にとっては既に、生き物に対して全く興味を持っていないようです。

どうしたんだろう、この子。
友達の妖精達はあんな事言っていたけど、凶悪そうじゃないし……。
何よりもこの子――怖がって震えてるじゃない。

彼女を今すぐにでもここから追い出そうと思っていた私でしたが、みるみるうちに感情が変化しつつありました。
――とりあえず柔らかく話しかけて、相手を落ち着けさせなちゃ。

「え、えっとその……」
「誰もこれないようにしてたのに――そうやって、またあんたらは私を追い出そうとするんだ」

私が口に出す前に、彼女の方がそう呟きました。
瞳を地に落とし、冷笑する氷の妖精さんに、私の心が揺らぎます。

私は友達の為にも、彼女を追放させなければなりません。
でも、その役目すらも忘れてしまう程、彼女を放っておけない気持ちに陥ったのです。
どうしても気になる……。
彼女が何故、こんなにも哀傷に浸っているのかが。

「そ、そんなわけじゃ……」
「うるさい! あたいにこんな力があるから……こんな力があるから、皆に嫌われるんだ。出て行け! ここはあたいの場所だ! 誰もここにくるなぁ!」
「そんなんじゃないよ! 氷の妖精さん!」

憤怒をあらわにしていた氷の妖精さんでしたが、私の言葉に反応して落ち着きを取り戻します。
といったものの、私は勢いで発言してしまいました。
何も思考を凝らしていなかった為か、頭の中にはあわあわと慌てている私がいます。
必死に思案している事を相手に悟られないよう、冷静な表情のまま氷の妖精さんと向き合いました。

じっと、私を睨み付ける彼女。
じーっと、青色の瞳が私の目を見つめます。
じー…………っ。
――もしかして、私の嘘がばれているんじゃ……。

「分かった! あんた、この天才のあたいを食べて、自分を天才にするつもりね!」

……そんな事はなかったようです。
真面目な顔して素っ頓狂な発言をする彼女を見て、不思議と笑みがこぼれました。

「食べないし、天才になるつもりもないよ……」
「あ、今笑ったなあんた! あたいを馬鹿にしたな!」
「いや、馬鹿にはしてないよ。うん、ちょっとだけ微笑ましかっただけ」

首を傾げて、私を見つめる氷の妖精さん。
そんな頭を捻っている様子が、また何とも可愛らしく思えます。
あ、でもこれが馬鹿にしているような行動だったのかもしれない。
だったら、謝らないと……。

「あ、あの……」

私が謝罪の言葉を伝えようとした、その時。



私の頬に、純白の刃物が直線上に飛び、スッと掠めていきました。



頬からひりひりと痛みが伝わり、私の笑みはみるみるうちにひいていく様子が分かります。
恐る恐る刃物が飛んできた方に目を遣ると、氷で組成した五寸程の刃が氷の妖精さんの手に収まっていました。
せせら笑う彼女は、やはり何かに怯えて強がっているようです。

「そう。なら答えはただ一つ。――あんたはあたいを痛めつける為にきたのね」

じわじわと精神を逆撫でるように言い出した氷の妖精さん。
今、ここで災害に見舞われたとしても、彼女は私から目を逸らさないでしょう。
それ程、彼女の双眸に力がこもっているのですから……。

どうしよう。このままじゃ、下手な事言っても納得してくれなさそう。
だからと行って、私はこの子をここから無理やり追い出したくもない。

「そうなんでしょ! 何とか言ってみたらどうなの!」

氷の妖精さんは、挑発する様に私を煽って来ます。
考えている暇も与えてくれなさそう……。
私は、今。どうしたいの……?

「黙り込んでしまって、心が読まれた事にそんなに驚いているの?」
「…………」
「何とか言いなさいよ! 殺す位の痛みを与えるつもりならあたいは……!」
「……わ、私はっ!」



「私は――あなたと友達になりたいのっ!」



……。
…………。
………………。
……………………ハッ!



やっちゃった……!
どうしよう、よりによってもベタベタな事をストレートに伝えちゃった。
でも、うん。そんな感じなのは変わりないし……。
気持ちを伝えたってのは満点っ。満点だけど、これじゃうぁあぁあぁあぁぁぁ……。

「……馬鹿にしてるの、あんた?」

氷の妖精さんは、呆気に取られた様な表情をして、もっともな事を呟いている。
だよね! だよね! そういう反応になるよね!
うぁー、私の馬鹿ぁあぁあぁあぁぁぁ……!

「あたいがそんな嘘に騙されると思っているの?」

彼女は喧嘩を売られたように思われたのか、更に怒りを込めつつ、私に向き合う。
可愛らしい彼女は、恐ろしい形相をしていました。
どうやら私は、一触即発の危機に追い詰められてしまったようです。
今更、下手な挽回は出来るはずもありません。
一歩も引けないこの状況、このまま突っ切らせるしかない……。

「嘘じゃないよ! 私は、あなたの……!」
「そうやってまた、あたいを馬鹿にして! あたいの力が妖精としては強すぎるから、最強過ぎるからいけないんだ……。敵わないからあたいをからかう様にして、あんた達は楽しむんだ。あたいは……あたいは……!」
「からかってなんか無いよ! 私はあなたが気になるの。何でそんな哀しそうにしているのか……気になっていたの」
「うるさい! あんたにあたいの何が分かる!」
「分からないよ。……だから、分かろうとしているの」

私の説得に押し負けたのか、氷の妖精さんは暫く黙ってしまいます。
鼓動が高まっていく私は、気持ちを落ち着かせようと、深呼吸。
呼吸を整えた所で、再び彼女の瞳を見据えます。

この時点で私はもう、彼女が敵だとは認識していませんでした。
安心させるには、彼女に信頼してもらわなければならない。
そして彼女を仲間にして、友達も氷の妖精さんも救ってやるんだ。
私は、ここの湖のリーダーなんだから……。

「氷の妖精さん。だから私と……」

彼女に優しく説得する為に、口を開いた時でした。
優しい笑顔を向けたその先に、心を開かない氷の妖精さん。
私が油断していたのを見計らったのか、彼女は右手から凶器を投げるように放ちました。



それは私の右腕に――氷の釘が、がっがっが刺さってっててってうがあああががっがががががっが。



「……いたッ……あっ……痛い痛い痛い痛いああああうぁぁああぁああああぁぁぁ……!」
「あんたが敵じゃないのなら、あたいに反撃なんかしないよね?」
「痛い……ッ、痛いよ……氷のよう……せい……さん……っ」
「あたいを怒らすとどうなるのか、分かっててやったんだよね? ――なら、ここで永遠に凍らせてやる」

氷の妖精さんは躊躇いも無く、今度は私の左腕に氷の釘を貫かせます。
その次は、左足に。その次は、右足に。今度は手に。
一つ一つ的確に、遊んでいるかのように私に氷の釘を打ち込んでいきます。



――何で……。どうしてなの……。



妖精は死ぬ事はありませんが、痛みは感じる。
心も身体も、痛みは感じるのです。
痛い、痛い、痛い。
苦しい、苦しい、苦しい。
どうして、どうして、どうして。
氷の妖精さんは、無表情に見えて、どこか寂しそうな顔で私を見下して、攻撃を続けます。
雨のように降り注ぐ凶器が私を襲い、血も流れぬ身体に傷をつけていきました。



――どうして私の気持ちが、伝わらないの……?



激痛が身体中に巡り、涙腺が緩み、涙が零れ落ちます。
悔しい。
自分が力不足のせいで、たった一人の妖精すらも助けられないなんて。
弱い自分が情けなくて、痛みよりも悔しさが溢れ出てきます。
御免、妖精の皆。私の力じゃ……彼女を止められそうにないよ……。



「――何で?」



私が絶望に浸っているそんな時。
意識が朦朧としてきたこの私の耳に、彼女の小さな呟きを聞き取りました。
俯き加減に地面に伏せこんでいた私は、首を僅かに動かして、彼女の顔色を窺います。
氷の妖精さんは息を荒げており、唖然とした表情をしていました。
どうしたんだろうと、私は疑問が浮かびましたが、考える前に彼女が口を開きます。

「何で避けも、反撃も、逃げもしないの? あんた、一体何なの……!」

私に恐れる様に、氷の妖精さんの両眼が小刻みに揺らいでします。
おろおろとした様子で、思わず彼女は猛攻するのを止めていました。

彼女のその言葉を聞いた途端、何だか笑いが込み上げてきます。
だって氷の妖精さん――私みたいな弱い妖精に恐れているのですから。
それはそれは、奇妙で仕方なかったのです。
苦しいはずなのに、痛いはずなのに。私は何だか心が穏やかになっていきました。

「何をくすくす笑ってるのあんた!」
「だって、氷の妖精さん……。私はその答えはもう言ったよ?」
「え……?」

そう私は全て、彼女に伝えているはずなのです。
――だからお願い。氷の妖精さん。

「私は、あなたの友達になりたいの。だから逃げも隠れも、あなたに攻撃もしないよ」



私の気持ち――受け取ってくれないかなぁ……?



「友達……本当に……?」
「うん。私の友達もあなたを受け入れてくれるように、必ず説得してみせるよ」
「…………」

氷の妖精さんは、私が全てを話し終えると、すっと私の傍まで近寄ってきます。
氷の羽をはばたかせ、私の目をじっと見澄ましてきました。
いつもの私なら、おどおどせずにはいられない状態だけど、今だけは彼女に精一杯の笑顔を優しく作って見せます。

それを見た彼女は、すっと両手を天に向け、両眼を静かに瞼で塞ぎました。
すると、みるみるうちに周りの霧が薄れて行き、冷たい空気もゆっくりと収束されていったのです。
完全に晴れることも無く、まだ肌寒いのはありますが、さっきの極寒の環境よりは過ごし易いものへと変貌を遂げました。

「――氷の妖精さん……」
「御免。今すぐ、その氷を溶かすから」
「それは、私を信じてくれるってこと?」
「……あたいは」



「そこまでだ、氷の妖精!」



私に触れようとした氷の妖精さんを押さえつけるかのように、急に刺々しい叫びが飛んできました。
ビクリと一度、氷の妖精さんが震えたかと思うと、柳眉を逆立て、声の方へと構えます。

私も不自由になった身体を懸命に動かし、氷の妖精さんと同じ方角へと顔を向けました。
じわじわと残る痛みが再び身体に響き渡り、私の動き一つ一つに反応するのが、苦痛で仕方がないです。
声の主は空に幾人もおり、血相を変えたかのように怒りをあらわにして、私達を見下ろしていました。

はばたかせる羽に、小さな身体。
その声の主達は、私の友達。私の仲間でした。
氷の霧が浅くなったところを見て、助太刀しに来たのでしょうか。
彼女達は一斉に構え、氷の妖精さんに弾幕を放射しました。

――駄目……っ。
その時の感覚は、まるで時が止まったように思えました。
私は咄嗟に氷の妖精さんの前方に羽を動かして飛び、両手を広げて彼女を守りました。身体が反射的に反応して、彼女の身代わりになったのです。

「うあぁ……!」

代わりに弾幕を全て受けてしまった私は、その場に倒れ伏せてしまいました。
身体中が焼け焦げたように熱く、止まらぬ激痛にもがき苦しみます。
視界が現か幻かも分からぬ程歪み、身体を動かそうとする努力すら億劫に感じてしまいました。

何で……私は、こんなに頑張ってるんだろう。
ふと過ぎった思いに答えが出ず、私は朦朧とした空想の中で耽り始めました。

何を恐れて、こんなに必死になっているんだろう。
私はどうして、彼女の為だけに身体がボロボロになってでも守ろうとしているんだろうか。
単なる気まぐれでもないだろう、ただ心配になったからでもなさそうだし。
私は……。

「あれ、リーダーの様子が変だよ……?」「もしや、氷の妖精の味方になったのでは?」「氷の妖精を追っ払えばいいでしょ。リーダーが邪魔するだったら、リーダーも消滅させるべきよ」「役立たない妖精。期待した私達が馬鹿だったようね……」

友達の妖精達から紡がれる、数々の呆れ果てた声が私の心に突き刺さり、自虐の念に囚われしまいます。
今まで友達の要望には、応えてきたつもりでした。
辛い時、苦しい時、私を頼りにしてくる友達は、私の存在理由でもあったのです。
でも、今日。その信頼関係は見事に崩れ落ち、友達に見放されてしまいました。



私にはもう、生きる理由が無い。
私にももう、生きる価値が無い。
私にはもう、生きる必要が無い。
私にはもう、生きる意味が無い。





――私にはもう……。





「これがあんたの友達だっていうの?」

そんな時――私の前に、氷の妖精さんが仁王立ちし、立ち塞がりました。
無表情で私を見下すように、軽蔑するかのような目つきです。

でも、どうしてでしょうか。
それだけで、彼女がとてつもなく怒っているのだという事が分かったんです。
返事も出来ない程に傷ついた私は、ただ彼女の瞳を見つめることしか出来ませんでした。

「くだらない。こんなの、友達とは呼ばないよ。ただあんたを利用して、あいつらは楽して生きようとしてるだけじゃない。そんなの、あたいの知っている友達とは違う。あたいが望んでいる友達とは違う」
「……とも……だ……ち」
「友達はいつでも相手と楽しく一緒に生きようとして、支えあっていこうとするものでしょ? 少なくともあたいの知っている友達はそうなんだ。あたいは馬鹿だけど、それ位の事は知っている。いや、望んでいるんだ」
「…………」

氷の妖精さんは、私に背を向け、両手に冷気を纏い始めました。
冷気は私にも伝わり、傷に染み渡り、痛みます。
いつ意識が無くなってもおかしくない、今の私はそんな状況でした。
それでも、死ぬ事が無いのだとしても、私は彼女を最後まで見届けたかったのです。



「あんたには友達がいない。あたいにも友達はいない。あんたは利用され、あたいは嫌われてきた存在。あんたはあたいを信じてくれた。信じる事は、友達の証なんだ。だから――」





「あたいが、あんたの友達になってやる!」





氷の妖精さんは友達の群れに飛び込み、弾幕合戦を始めました。
私は彼女の言葉を聞いた後、意識がプツンと糸が切れたかのように、無くなってしまいます。

あぁ、そうだったんだ。
私は、彼女と似ていたんだ。
誰とも繋がる事は無く、誰とも一緒にはならない。

ただ力が強いだけで、私は敬遠され、恐れられていたんだ。
だから、彼女が私の友達になってくれると言った時、あんなにも安心してしまった。

これ程にも、嬉しい事は無い。
これからも、あの子は私の傍にいてくれるのかな。

だとしたら――私は、彼女を見守り続けよう。
私は、彼女に大切だと思われる友達になってあげよう。
二人で喜んで、怒って、哀しんで、楽しんで。
不器用かも知れないけど、互いに違えるかも知れないけど。
私は、彼女の友達になるんだ。



――ありがとう、氷の妖精さん。









そして、その後。
氷の妖精さんは、妖精達を全て懲らしめ、この湖のリーダーになりました。

ただやっぱり、幾人もの妖精の友達は私の方を信頼しているようです。
氷の妖精さんだと、私よりは妖精の中では力が格段に上ですが、少々不安な所があるのかも知れません。
私はドジですが、妖精の中では知恵が働く方だったのでしょう。

そして、氷の妖精さんに名前を教えられ、名も無き私に名前をくれました。
湖の妖精達を従える、一回り大きな事をこなす妖精だから、『大妖精』。
彼女のネーミングセンスは正直良くないですが、彼女が満足そうなので、私はそれで了承してしまいました。

そんな氷の妖精さんの名前は『チルノ』。
彼女は私の事を大ちゃんと、私は彼女の事をチルノちゃんと呼びます。
今ではすっかり、仲の良い友達です。
今日も彼女の我侭に誘われ、その背中を私は追っかけるのでした。
――湖は今日も、陽気な妖精の声が反響しています。


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