未確認生命体、宇宙人が湧いた。僕の前で通り過ぎてゆく。
宇宙人と挨拶交わし、礼を交わされる。ひらひら漂うカーテンが綺麗。
交わした言葉は一言だけど、それだけで僕は興奮気味に教室へ向かうんだ。
7年目迎えた真新しい教室に、人間と宇宙人が交流する。
友人達は宇宙人と会話をしているというのに、僕は恐怖で立ちすくむ。
自分に合わせてくれるように、柔らかな言語で話しかけてくれる宇宙人。
だけど、僕は空気だけを吐く。優しく爽やかな想像は何処へ行くのか。
ホワイトバックの脳内が、僕の言葉を狂わすのだ。
あんなに優しくしてくれたのに、音を吐き出せなくて何度も恨んだ。
レーザービーム放つ、宇宙人。情報更新、人間が受信。
そんな僕は目が焼ける眩しさに負け、俯き加減に話を聞くんだ。
とにかく受け取って話せばいいと友人が笑う。僕は1歩も前に踏み出せないまま。
空気に嫌われ、溜息ばかり。
やがて、全景が灰色にあせた。
気に食わぬ宇宙人のレーザービーム。殺意で焼け焦げ、精神直撃。人間すらも僕に放つ。
あいつらに侵略されたのか、かつての友人も今は宇宙人と一緒にいる。
会話を交わす友人達も、今や宇宙人と共同の言語で、喚き散らしていた。
集中砲火も致しがたない。
人間も宇宙人もかつては1つだったはずなのにな。
交信すらも出来ない僕は独りになった。言の葉を紡げぬ、不器用者。
通信障害、耳に喚かれる。ブラックフォワード、身体侵害。
せせら哂う声が猛毒で、僕は心を閉ざしたんだ。
僕は呼吸だけが全ての通信。ここは危険だと、安全な部屋へ閉じこもったんだ。
気付けば自分は、ガラクタになっていた。
侵略者は誰でもない、僕自身だったのだといつしか理解する。
それでもガラクタは挫けず立ち上がる。雑音ばかりの部屋は飽きた。
嫌われ者の人間は、今日も誰かのために生きたいと願う。
理想の自分が全てを支えるんだ。宇宙人だって、怖れることないさ。
少なくとも僕は、おかしな話だと思えます。
それでも綺麗事だけが、僕の特権だったのだ。
笑える話だと思いませんか。あれを宇宙人だとほざくのが。
自分が未確認生命体でも良いのではないか。醜く見えて傑作だ。
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