ほわいとあっぷる 【詩】未確認生命体 忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

    

【詩】未確認生命体

未確認生命体、宇宙人が湧いた。僕の前で通り過ぎてゆく。
 宇宙人と挨拶交わし、礼を交わされる。ひらひら漂うカーテンが綺麗。
 交わした言葉は一言だけど、それだけで僕は興奮気味に教室へ向かうんだ。

 7年目迎えた真新しい教室に、人間と宇宙人が交流する。
 友人達は宇宙人と会話をしているというのに、僕は恐怖で立ちすくむ。
 自分に合わせてくれるように、柔らかな言語で話しかけてくれる宇宙人。
 だけど、僕は空気だけを吐く。優しく爽やかな想像は何処へ行くのか。
 ホワイトバックの脳内が、僕の言葉を狂わすのだ。
 あんなに優しくしてくれたのに、音を吐き出せなくて何度も恨んだ。

 レーザービーム放つ、宇宙人。情報更新、人間が受信。
 そんな僕は目が焼ける眩しさに負け、俯き加減に話を聞くんだ。
 とにかく受け取って話せばいいと友人が笑う。僕は1歩も前に踏み出せないまま。
 空気に嫌われ、溜息ばかり。

 やがて、全景が灰色にあせた。
 気に食わぬ宇宙人のレーザービーム。殺意で焼け焦げ、精神直撃。人間すらも僕に放つ。
 あいつらに侵略されたのか、かつての友人も今は宇宙人と一緒にいる。
 会話を交わす友人達も、今や宇宙人と共同の言語で、喚き散らしていた。
 集中砲火も致しがたない。

 人間も宇宙人もかつては1つだったはずなのにな。
 交信すらも出来ない僕は独りになった。言の葉を紡げぬ、不器用者。
 通信障害、耳に喚かれる。ブラックフォワード、身体侵害。
 せせら哂う声が猛毒で、僕は心を閉ざしたんだ。
 僕は呼吸だけが全ての通信。ここは危険だと、安全な部屋へ閉じこもったんだ。

 気付けば自分は、ガラクタになっていた。
 侵略者は誰でもない、僕自身だったのだといつしか理解する。
 それでもガラクタは挫けず立ち上がる。雑音ばかりの部屋は飽きた。
 嫌われ者の人間は、今日も誰かのために生きたいと願う。
 理想の自分が全てを支えるんだ。宇宙人だって、怖れることないさ。

 少なくとも僕は、おかしな話だと思えます。
 それでも綺麗事だけが、僕の特権だったのだ。
 笑える話だと思いませんか。あれを宇宙人だとほざくのが。
 自分が未確認生命体でも良いのではないか。醜く見えて傑作だ。

拍手[0回]

PR

    
  

Comment

お名前
タイトル
E-MAIL
URL
コメント
パスワード

Copyright © ほわいとあっぷる : All rights reserved

「ほわいとあっぷる」に掲載されている文章・画像・その他すべての無断転載・無断掲載を禁止します。

TemplateDesign by KARMA7
忍者ブログ [PR]