それは突然のことでありました。
ゆらゆらと揺れる彼は、瞳を閉じて遠くへ飛んで行ったのです。
気持ちが交わり気ままに漏らして、後先考えずに花を咲かせようとしました。
「いけないんだ、いけないんだ。先生に言っちゃうぞ」
そして先生に伝達したけれども、彼だけではなく私も叱られてしまいました。
1つではないこの身体。どうしてくれると咎めたのに、彼はどこへ行く?
お洒落な赤いネックレスを首に飾らして、出かけた先はどこさ?
黄色いリボンで装飾される彼の部屋。掃除が苦手なあの人の後始末。
統一された動きが、機械のよう。やがて機械は仕事を終えて、黄色いリボンは解かれた。
さてはて、私はいかがなものか。このまま出かけた彼を逃していいものか。
花咲かすなと怒鳴られて、いずれ種は掘り起こされてしまうのです。
止まらぬ雫が愛に溺れている。途切れておらぬ恋路を行くべきだろう。
内緒に1人で支度を済ませて、お気に入りの白いワンピースを着て行きます。
きっとこちらでも彼にも綺麗に見せつけられるでしょう。
例え彼が私を望んでいなくても、私が望んだ唯一の人だもの。後悔なんて致しません。
それでは覚悟を決めて参ろうか。彼の部屋を見渡し、一度も相まみえない者へ告げた。
赤いネックレスを首に飾り、ゆらゆら揺れてどこへ行く。
いずれ、辿り着くことでしょう。赤いネックレスが私達を結びつけてくれるはずですから。
それでは皆様、御機嫌よう。ご迷惑をおかけ致しました。
いつかまた彼と出会えることを願います。
その時は、お花も咲いて幸せに暮らしてみせましょう。
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